2017年8月22日、インテルは、ノートパソコン向けの8世代 Coreシリーズの発売を開始した。i7が2種類、i5が2種類のラインナップで、Kaby Lake Rと呼ばれている。これらのプロセッサはTDPが15Wタイプで、ノートパソコンの中核を担うCPUである。前世代のi7-7600Uやi7-7500U、i5-7200Uの後継ということになる。
まず、ラインナップとスペックを、下の表に掲載する。(7×××は前世代のCPUです。比較対象として載せています。)
CPU | コア/ スレッド |
ベース/ターボ | メモリ | 内蔵GPU | TDP | プロセスルール |
Core i7-8650U | 4/8 | 1.9/4.2GHz | DDR4-2400 | Intel UHD Graphics 620 | 15W | 14nm |
Core i7-8550U | 4/8 | 1.8/4.0GHz | DDR4-2400 | Intel UHD Graphics 620 | 15W | 14nm |
Core i5-8350U | 4/8 | 1.7/3.6GHz | DDR4-2400 | Intel UHD Graphics 620 | 15W | 14nm |
Core i5-8250U | 4/8 | 1.6/3.4GHz | DDR4-2400 | Intel UHD Graphics 620 | 15W | 14nm |
Core i7-7500U | 2/4 | 2.7/3.5GHz | DDR4-2133 | Intel HD Graphics 620 | 15W | 14nm |
Core i5-7200U | 2/4 | 2.5/3.1GHz | DDR4-2133 | Intel HD Graphics 620 | 15W | 14nm |
新プロセッサの大きな特徴は、4コア/8スレッドプロセッサとなり、前世代の2コアから倍のコアを実装したことにある。かなり大きな変化である。メモリはDDR4-2133→DDR4-2400になり、デスクトップでは標準だったDDR4-2400も、ノートPCでも標準となる。
次にベースクロックを比較すると、7世代目の Core i7-7500U は2.7GHzで、8世代目の Core i7-8550U は1.8GHzと低くなっている。コア数が倍になった分ベースクロックが低く設定されている。ターボブーストは7世代目の3.5GHzから、8世代目の4.0GHzにアップしている。ベースクロックは低くても、シングルコアや少ないコア数での動作時のクロックは、ターボブーストの力で高速に動作する。
ベースクロックが低い分、アプリの動作に影響があるように思えたが、ターボブーストの力で、シングルコア性能を立派に確保していることがわかる。世代を超えたモデル同士を比較してみると、Kaby Lake Rの性能が高いことがわかる。例えば、i5-7200 と i5-8250U を比べると約9%差、i7-7500U と i7-8550U は約13.4%差となっている。
マルチコア性能は、4コア8スレッドの8世代目Core シリーズの圧勝という結果に。しかし、8世代目同士の比較では、Core i5~Core i7のどれをとっても、スコアが533~557と僅差になっているのがわかる。そのため、マルチコア性能が欲しいとき、i7を選ぶ必要があるのか微妙である。
新CPUのメリットは、コア数が倍増した分、マルチスレッド処理を必要とする、写真の加工、現像や動画編集などで力を発揮してくれること。今回登場したラインナップでは、マルチコア性能がほとんど同じなので、シングルコアの性能差を目安として、CPUを選択するのが良いと思う。
しかしながら、上のグラフでは似たり寄ったりのスコアでも、冷却力の優れたノートPCでは、どのようなスコアになるだろうか。ゲーミングノートPCのような、冷却力のあるパソコンなら、成績が上がるのでは?と思ったりしている。現時点では、ベンチマークデータが無いため、今後の課題とする。
さて、4コア化の大きな変化によって、おなじみの Core i7-7500U と Core i5-7200U 搭載ノートPCは、今後、8世代目のCPU搭載へ、次第に入れ替わってゆくだろう。