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Ryzen 7 1800Xの性能を観察する(1700X,1700)

Ryzen 7の大きな特徴は、インテル系の8コアCPUよりも圧倒的に価格が安いという点にある。しかしながら、用途によっては、インテル系よりも性能が高かったり、低い場合もあるCPUなのだ。今回は得手不得手を踏まえながら、Ryzen 7 の力を探っていこうと思う。

Ryzen 7のラインナップは3つ

Ryzen 7 シリーズには、「Ryzen 7 1800X」,「Ryzen 7 1700X」,「Ryzen 7 1700」と3種類のモデルがあり、最上位「Ryzen 7 1800X」では、ターボクロックで4.0GHzまで上昇する。メモリはDDR4のデュアルチャンネルタイプ。CPUはソケット AM4マザーボードに取り付けることができる。

CPU コア/
スレッド
ベースクロック ターボクロック OCTDP
Ryzen 7 1800X 8/16 3.6GHz 4.0GHz 可能 95W
Ryzen 7 1700X 8/16 3.4GHz 3.8GHz 可能 95W
Ryzen 7 1700 8/16 3.0GHz 3.7GHz 可能 65W

CINEBENCH R15では、インテルの上をゆく性能

既に発売されているインテルの8コアCPU「インテル Core i7-6900K」と「AMD Ryzen 7 」の性能をベンチマークで比べると、シングルコアとマルチコア性能の両方で、「Core i7-6900K」と「Ryzen 7 1700X」がほぼ同じ性能であることがわかる。さらに、「Ryzen 7 1800X」ではインテル8コアCPUを越える性能で、シングルコアで5.8%、マルチコアで3.4%上になっている。しかしながら、「Core-i7 6900K」は12万円台、「Ryzen 7 1800X」は6万円台ときてるから、Ryzenが光輝いている。※価格は2017年3月4日現在の価格です。

Ryzen 7 1800X 1700X 1700 CineBnech R15 Ryzen 7 1800X 1700X 1700 CineBnech R15

ゲーム性能を見る

FireStrikeベンチマークでは、物理コアの強さが差となって表れていて、「Ryzen 7 1800X」と「Core i7-6900K」はほぼ同じである。しかし、実際のゲームのベンチマーク結果で、フレームレートを比較してみると、(インテル系よりも)ゲームに弱いRyzen 7が浮き彫りになっているものの、これは軽量級ゲームの話である。今のところ軽量級ゲームでは、Core i7-7700Kの方がゲームに向いていると言える。

Ryzen 7 1800X 1700X 1700 3DMark FireStrike ベンチマーク Ryzen 7 1800X 1700X 1700 FFXIV ベンチマーク

トゥームレイダーを使ったテストにて、Ryzenパワーを見る

次は、ライズオブザトゥームレイダーのテストで、中画質、中解像度(1920×1080 ミディアム設定)では、やはりインテル系が圧勝だが、画質を高画質、高解像度に設定して、テストを行うと、インテル系CPUとのフレームレートの差が小さくなる現象が示されている。 高画質、高解像度のもとでは、インテル系とAMD系CPUとの差はわずか5.8%ほどに縮まっている。CPUすべてのコアにスレッドが分散して、重い負荷が掛かる状況下では、「Ryzen 7」は、威力を発揮することが知られている。逆に、それほど重くない中程度の負荷がかかる状況では、力を発揮出来ずにいるという。

Ryzen 7 1800X 1700X 1700 Rise of the Tomb Raider ベンチマーク Ryzen 7 1800X 1700X 1700 Rise of the Tomb Raider ベンチマーク

この現象は、「Ryzen 7」の構造が原因と言われている。「Ryzen 7」は、8コアのCPUだが、4コアのユニット(CCXと呼ばれる)を2つないだ形をしている。互いのユニットは通信のために、高速な伝送路でつながれている。軽い処理のときには、スレッド同士が頻繁に通信するので、この伝送路の速度がネックになって、全体の処理速度が低下すると言われている。

「Ryzen 7」でゲームをするときは、それなりのGPUを積み、低い画質でプレイすることは珍しいと思うので、このトゥームレイダーのベンチは、「Ryzen 7」がゲームでも大いに頼りになるという、重要な証拠だと思う。

エンコードテスト

Adobe Premiere CC 2017 で変換テストを示したものが以下の結果。4KファイルををフルHDサイズの動画に変換し、その速度を見るテストで、CUDAなどの支援はカットして、CPUのみでエンコードさせている。CPUのコア数に順じた、期待通りの結果が出ている。動画エンコードテストでは、Ryzen 7 1800X の 強さが見て取れる。

しかしながら、動画エンコードテストの方法を変えると結果が大きく違うという。元画像のサイズを4k、6K、8kの解像度で、様々な動画コーデックと組み合わせて、エンコードさせるとRyzen 7 1800X/1700X/1700は、インテル系のi7-6900Kはもとより、i7-7700Kとそれほど差のないベンチマーク結果をちらほら見かけるので、動画エンコードテストは、今後の検証を待って確認してほしい。

Ryzen 7 1800X 1700X 1700 Adobe Premiere CC 2017 エンコードテスト

Ryzen 7 1800X などの価格

Ryzen 1800Xは、i7-6900Kの約半額である。また、Ryzen 1700は、i7-7700Kよりも安いCPUとして登場している。性能のわりに価格が「安い」の一言である。 (価格はツクモ、ドスパラ調べで、安いほうを表示しています)


強さと弱さをもつ魅力的なCPUが「Ryzen 7 1800X/1700X/1700」

ゲーマーがより高速性を求めるなら、i7-7700Kを選ぶ方が良いだろう。しかし、Ryzen 7で、軽量級ゲームをするときは、フレームレートは十分で、重量級ゲームなどでは、性能はインテル系と僅差になるので、より高い性能を目指さないのであれば、Ryzen 7 1700/1700X/1800Xは、良い選択となる。

動画編集や3DCGレンダリングでは、8コアのRyzenは、強力な味方になってくれる。しかしながら、先の理由から(トゥームレイダーのところ)、自分の使用するソフトや処理が、Ryzenを導入することで、高速になるかどうかチェックしてほしい。CINEBENCH R15だけで処理速度を知るだけでは不十分で、各ソフトのベンチマーク結果をチェックしよう。

このようなわけで、歯切れが悪いが、現在のRyzen 7 は、処理によって、i7-6900Kと同等以上な時もあり、i7-7700Kより遅いときもあるCPUなのだ。しかし、万能薬とはいかないまでも、8コアパワーで、クリエイティブ系の処理などを劇的に改善させるCPUであり、値段の安さと相まって、「欲しい」「試したい」と思わせてくれるのが「Ryzen 7」なのだ。


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