インテルの新Coreシリーズでは、i5とi7のコア数が、6コアになって登場したCPUである。コア数が増えてどのくらい性能アップしたのか、前世代のCPUと比較しながら紹介しようと思う。
6コア12スレッドで強力なパワーを発揮するi7-8700K、リアル6コアながらリーズナブルなi5-8400がある。そして、4コアでコスパの良い、コアi3シリーズも魅力である。
Coffee Lake-Sのプロセスルールは14nm++という、Kaby Lake版の14nm+から改良されたものの、やはり14nmクラスのプロセスルールなので、6コアをフル活用するような使い方では、消費電力は大きくなる。TDPは95Wとなっているが、冷却は前世代のCPUよりも気を付けたいところである。
対応メモリは、Core i7とi5が新たにDDR4⁻2666に対応した。Core i3はKaby Lakeと同じくDDR4-2400対応のままとなっている。また、CPUとグラフィックボードをつなぐPCI Expressのレーン数は16レーンと、Kaby Lakeと同様のスペックである。
CPU | コア/ スレッド |
ベース/ターボ | 内蔵グラフィックス | TDP | メモリ | プロセスルール |
Core i7-8700K | 6/12 | 3.7/4.7GHz | Intel UHD Graphics 630 | 95W | DDR4-2666 | 14nm++ |
Core i7-8700 | 6/12 | 3.2/4.6GHz | Intel UHD Graphics 630 | 65W | DDR4-2666 | 14nm++ |
Core i5-8600K | 6/6 | 3.6/4.3GHz | Intel UHD Graphics 630 | 95W | DDR4-2666 | 14nm++ |
Core i5-8400 | 6/6 | 2.8/4.0GHz | Intel UHD Graphics 630 | 65W | DDR4-2666 | 14nm++ |
Core i3-8350K | 4/4 | 4.0GHz/ - | Intel UHD Graphics 630 | 91W | DDR4-2400 | 14nm++ |
Core i3-8100 | 4/4 | 3.6GHz/ - | Intel UHD Graphics 630 | 65W | DDR4-2400 | 14nm++ |
今回登場したCPUを使うには、Z370搭載の新たなマザーボードが必須になる。ソケットはLGA1151で変化はないもが、Z270,H270,B250搭載のマザーでは使うことができない。インテルは今のところ、OC機能のないH370などのチップは発売しておらず、少々割高なZ370搭載マザーボードを購入することになる。廉価盤マザーボードは、じきに発売されると思う。
さて、シングルコア性能はどのくらい向上したのだろうか。最上位のi7-8700Kをi7-7700Kと比べると、数パーセン程度の性能アップが見られる。前世代と、同クロックのCPU同士を比べてみると、「同程度~それ以上」のシングルコア性能を見せている。(このベンチマークは、アプリやウィンドウズの動作速度を見たい時、参考になる)順当に性能アップした模様である。(ここで示しているベンチマークの実行環境は、マザーボード、メモリ、ストレージなどは同じものではありません)
次は、大きなパワーアップを果たした、マルチコアの性能を見てゆく。6コア12スレッドのi7-8700Kは、i7-7700Kの1.58倍のスコアをマークしている。4コアCPUになったi3でも、Kaby Lake i5級の性能を発揮する。頼りになるパワーと、コスパ良しの良CPUがi3という存在である。
GPUの能力を生かすCPUの組み合わせは、どうなっているのだろうか?ここでは、3DMark FireStrikeで、GPUとCPUを組み合わせて、比較している。グレー系のグラフ色は旧世代のCPUで、i7-7700Kとi5-7500である。 (GeForce 1080/1070/1060のGPUクロックは1880MHz前後、CPUのOCはしていません)
3DMark FireStrikeのベンチマークの中の小テストの1つ、Combined テストでGPU性能を比較する。このテストの特徴は、CPUに中~高の負荷がかかり、GPUにも大きな負荷がかかるテストである。ヘビーなゲームと同等と言える。もし、このCombined テストよりもCPUやGPUに負荷のかかるゲームの場合は、ここで示したGPUとCPUの組み合わせでは不十分となることに注意しよう。個々のゲームでの、最適な組み合わせを知りたい時は、そのゲームのベンチマークを参考に。
GeForce 1060 6GB の場合、ばらつきはあるものの、スコアは極端に違わない結果である。GeForce 1070 では、i3-8100とi5-8400 の間に差があるが、i5-8400以上ではスコアが横並びとなり、スコアは伸びていないのがわかる。GeForce 1070 に組み合わせるCPUの境界は(FireStrikeと同じくらいのGPU,CPUに負荷をかけるゲームの場合)、i5-8400付近にある。
GeForce 1080 の場合は、CPUのグレードを上げると、スコアが上昇してゆき、GPUの能力を生かすには、i5-8600Kやi7-8700Kを組み合わせるのが良い、という結果になっている。
ひとつ気を付けたいことは、ゲームのプレイ動画の保存や、配信を行いたい人は、ここで示した組み合わせ以上のCPUが必要になる。ゲームと動画を同時に扱うには、より処理能力の高いCPUが必要になるので、ここで示した組み合わせよりも、上位のCPUを選択しよう。
ここでi7-7700Kは、Coffee LakeのどのCPUに匹敵するのだろうか。3DMark テストでは、i5-8400かi5-8600K辺りに匹敵するようである。(ただ、GeForce 1080のスコアでは、i5-8400にかなわない)
CINEBENCH R15 では、i5-8600Kがシングルコアとマルチコア性能で近いと思う。また、マルチコア性能のみの比較では、i5-8400がi7-7700Kに肉薄している。(i5-8400の方が、3.6%ほど低い)
動画編集のプレビュー表示や、エンコードの性能では、雑誌などのベンチマークを調べてみると、i5-8400とi7-7700Kのスコアが近かったり、i5-8400の方が少し上のスコアだったりする。i7-7700K以上の動画編集パワーを確実に得たいなら、i5-8600K以上のCPUが良いと思う。
リアル6コアの「Core i5-8400」と、4コア「Core i3-8350K」との価格差が小さくなっている。Coffee Lakeでは、搭載コア数が増えても、メーカーの価格設定がアップすることもなく、Kaby Lake登場時の小売り価格と比べても、据え置きなのである。(価格はツクモ、ドスパラ調べで、安いほうを表示しています。また、週に1,2回は更新しています)
ゲームや動画編集に強いCPUで、コスパが良いものを選びたい時には、Core i3-8100 が適している。1万円前半で手にできるインテル4コアはさすがに魅力的に思う。さらに、パワーが必要な時には、Core i5-8400 が、リーズナブルな6コアCPUとして、自作に適している。3Dゲーム実況や動画編集をメインにしたいという使い方ならば、高クロックタイプで6コアの Core i5-8600K ~ i7-8700Kが選択肢になると思う。(筆者個人としては、i3-8100 と i5-8600Kに魅力を感じます。そして、i5-8400と続きます)
Core i3~i7まで、それぞれに魅力のあるCPU「Coffee Lake」。メインストリームマシンでも、6コアの幕開けとなり、パワフルで快適なパソコンライフを、強力に後押ししてくれることと思う。