格安なPC電源ユニットの選び方
パソコンを自作するとき、電源ユニットの値段は高く、「コストを抑えたい」と思うことが多々あります。この記事では、電源にはお金をかけたくない人向けに、コストを抑えつつ、「使える」「安心」電源を買うことを目指します。「電源高すぎ」と思うならばこの記事が役に立つはずです。
ここでは1万円台前半以内で買うことのできるPC電源を対象にしています。この価格帯には、安くて不安なものから、なかなか良いものまで存在していて、自分にあった電源を選べるからです。
安い電源は、3つのカテゴリに分類できる
5000円から一万円台前半の電源ユニットは、質の観点から3つのカテゴリに分類できます。一つ目は、激安、最安の製品で、ビデオカードなどで高負荷をかけると電圧が落ちてゆき、不安定になる電源。3年程度の保証が付くものの、コンデンサはコストダウンのために、グレードの低いものが使用されています。2つめは、高負荷でまあまあの出力だが、コンデンサの品質はそれほど良くないので、3年程度の保証しか付かない製品。3つ目は、高負荷環境でも出力は安定し、搭載されているコンデンサのグレードがさらに上って、5年程度の保証が付き、長持ちする製品。例外的電源はあるものの、3つに大別することができます。
長持ちする電源かどうかを見分けるには保証期間の長さを必ずチェック
製品が長持ちするかどうかは、保証期間を見ると一目瞭然です。メーカーは、ユーザーが一日何時間くらい使用するか設定し、それを部品の寿命に照らし合わせ、保証期間を決定しているからです。安い電源では3年の保証期間が標準的なのですが、少しランクが上になると、5年、7年の保証期間が設定されています。これは、コンデンサに長寿命の部品を使い、長持ちするように作られているからです。
寿命の観点からファンレスタイプは避ける
PC電源は、内部の熱を外に排出するために、ファンが取り付けられています。しかし、最近ではファンを無くして静音化し、ファンの代わりに大きなヒートシンクを搭載して冷却する製品が登場しています。しかし、ファンに比べて冷却効率が悪いため、製品の寿命が短くなる可能性が有るので、安い電源では冷却しっかりタイプの、ファン付き製品を選ぶ方が無難だと考えています。
ファンの音がうるさくないか?静かかどうかをチェック
パソコン電源のファンは、内部に熱をもつと早く回転し、大したことないときには、回転数を抑えている製品がほとんどですが、動作音がうるさいファンが搭載されている製品があります。音の大きさは、電源を実際に使ってみなければ確認できないものの、「DOS/V POWER REPORT」というパソコン雑紙では、電源の特集をやっていて、動作音がdB(デシベル)表示で載っているので参考にしましょう。
プラグインケーブルか直付けか、どっちでもかまわないか
直付けタイプの電源の利点は、電源のコストが安くなることで、プラグインタイプの電源は、自作パソコン内部に線が密集せず、エアフローの改善効果で冷却効率が向上したり、線の引き回しがやりやすいといった利点があります。最安タイプの電源群は直付けタイプ、その他は大体セミプラグインタイプの製品になっています。左の写真は、ケーブルが取り外しできない、直付けタイプの電源例です。
調べられるなら、電解コンデンサのメーカーや105度、85度タイプなど調べてみる
電源内部には、電解コンデンサがいくつも使用されています。熱に対する耐久性の高さから、105℃タイプのコンデンサや85℃タイプのコンデンサがあり、105℃品は85℃品の4倍の寿命を持ちます。
内部に使われているコンデンサタイプを調べるには、メーカーホームページを見て確認することができ、また、自作パソコン雑紙でも確認することができます。
105℃品が使われていると長寿命を期待できますが、事前の確認が難しいこと、コンデンサのメーカーが違うと同じ105℃品でも寿命が違うため、105℃品の搭載は、長持ちの大体の目安とします。重要な点は、保証期間が何年あるのかを確認することで、105℃品の確認よりも優先と、考えておきましょう。
出力波形の安定性をネットやパワレポで調べてみる
雑紙、ネットには、実際に電源の出力波形のテストを行って、評価をしていることがあります。
しかし、私を含め素人には難しく、評価のコメントを頭に入れておく程度にしています。
パソコン雑誌などで、電源の出力波形を見るためには、2種類のグラフを使って評価しています。
1つ目は、高負荷とともに、出力電圧がどのように変化してゆくのかを見るグラフで、電圧が大きく下がったり(電圧降下)、規格外の電圧になるときは、品質がよく無い電源の証です。2つ目のグラフは、短い時間内に、小さい電圧の変化を見るためのもので、ミクロの目で出力電圧を見ています。小さな電圧の変化が多くみられる場合は、パソコンで音楽や、動画を再生した時の音に影響を与えることが知られています。
格安電源は、電圧が規格外になったりと問題が多いので、特にグラフィックボードを搭載するときには、電圧降下に注意するのが、良い電源を評価するポイントになります。